令和7年7-9月期 景気動向調査レポート
管内事業所の景況感分析と今後の見通し
総括:景況感は大幅に悪化、コスト高が収益を圧迫
令和7年7-9月期の景気状況DI(Q1)は -26.0 となり、前期(R7 4-6月期:-24.1)および前年同期(R6 7-9月期:-5.3)から大幅に悪化しました。 これは、仕入れ単価の高止まり(DI -66.9)と売上高の不振(DI -20.5)が続き、企業の採算性(DI -40.5)を強く圧迫していることが主因です。 来期(R7 10-12月期)の見通しDIも-27.6とさらに悪化しており、先行きに対する不透明感と悲観的な見方が強まっています。
R7 7-9月期 主要DIスナップショット
今期の主要5項目のDI値です。「仕入れ単価」のDI値が極端に低く(高騰を示唆)、これが「採算」のDI値を押し下げている構図が鮮明です。
分析: 仕入れ単価DI(-66.9)は、回答企業の7割近くが「上昇」と回答したことを示し、深刻なコスト圧力を反映しています。その結果、採算DI(-40.5)は全項目中2番目に低く、コスト増を価格転嫁できずに収益が悪化している状況が伺えます。
経営上の最大の問題点 (定性回答)
フリーテキスト回答から抽出された、現在最も問題となっている経営課題です。コスト関連の問題が大多数を占めています。
- 1 コスト上昇(原材料、電気代、仕入れ価格の高騰)
- 2 人材関連(人手不足、人件費・賃金アップの負担)
- 3 売上不振(受注減少、単価下落、消費低迷)
- 4 為替変動(円安による輸入コスト増)
Q1. 景気状況 (全体)
景気状況のDI値の推移です。「今期DI」は実際の景況感、「来期見通しDI」はその時点で予測した次期の景況感を示します。
分析 (Q1 景気状況): 今期(R7 7-9)のDIは -26.0 となり、前期(R7 4-6:-24.1)から1.9ポイント悪化、前年同期(R6 7-9:-5.3)からは20.7ポイントと大幅に悪化しました。 今期時点での来期見通しDIも -27.6 と、今期のDI値を下回り、先行きへの悲観的な見方が強まっています。
Q2. 売上高(受注額・出荷額等)
売上高のDI値の推移です。景況感を裏付ける重要な指標です。
分析 (Q2 売上高): 今期のDIは -20.5 と、前期(-15.0)から5.5ポイント悪化、前年同期(0.0)からは20.5ポイントの大幅な悪化となりました。売上不振が景況感を押し下げる大きな要因となっています。来期見通しも-22.1と、改善の兆しは見られません。
Q3. 仕入れ単価(商品・原材料等)
仕入れ単価のDI値(「上昇」-「下降」)。マイナス幅が大きいほど、単価上昇と感じる企業が多いことを示します。
分析 (Q3 仕入れ単価): 今期のDIは -66.9 と、前期(-70.5)からはわずかに改善したものの、依然として極めて低い水準です。前年同期(-64.2)と比較すると悪化しています。来期見通し(-67.7)もほぼ同水準であり、コスト圧力が継続することを示唆しています。
Q5. 採算
企業の収益性を示す採算DIの推移です。売上(Q2)とコスト(Q3)の結果が反映されます。
分析 (Q5 採算): 今期のDIは -40.5 と、前期(-31.7)から8.8ポイント、前年同期(-28.1)から12.4ポイントと、大幅に悪化しました。売上不振(Q2)と仕入れ単価高騰(Q3)の板挟みとなり、収益性が著しく悪化していることがわかります。
Q4. 資金繰り
資金繰りDIの推移です。収益悪化がキャッシュフローに影響を与えているかを示します。
分析 (Q4 資金繰り): 今期のDIは -18.9 と、前期(-15.8)および前年同期(-10.4)から悪化傾向が続いています。採算の悪化(Q5)が、企業の資金繰りにも徐々に影響を及ぼし始めている可能性が懸念されます。
業種別 景気状況DI (R7 7-9月期)
今期の景気状況DI(Q1)を業種別に比較したものです。業種によって景況感に大きな差が出ています。
分析: 全業種でDI値がマイナスとなる厳しい状況です。特に「卸売業」(-55.6)、「小売業」(-42.9)、「製造業」(-30.0) の落ち込みが顕著です。これらはコスト高や消費低迷の影響を強く受けていると推察されます。 一方、「飲食・サービス業」(-13.3) や「その他」(-10.0) は比較的マイナス幅が小さいものの、依然として厳しい状況下にあります。
総合分析レポート:現状と今後の予測
現状分析: 令和7年7-9月期の景気動向調査は、管内事業所の景況感が 前期および前年同期比で大幅に悪化 していることを示しています。景気状況DI(-26.0)は、R6 7-9月期(-5.3)と比較して20ポイント以上も下落しており、この1年間で急速に景況感が冷え込んだことがわかります。
主要因: 最大の要因は、 「コスト高」と「売上不振」の二重苦 です。仕入れ単価DI(-66.9)が示す通り、原材料や光熱費の高騰が続いており、これが採算DI(-40.5)を過去数四半期で最悪の水準に押し下げています。同時に、売上高DI(-20.5)も悪化しており、コスト上昇分を価格転嫁できず、利益が圧迫される厳しい経営環境が浮き彫りとなっています。定性回答でも「原材料の高騰」「電気代」「人件費増加」と「受注減少」「消費低迷」の両方に対する懸念が多数寄せられました。
今後の予測: 来期(R7 10-12月期)の見通しも極めて厳しい と言わざるを得ません。景気状況の来期見通しDIは-27.6と、今期の実績値をさらに下回っています。売上、採算、資金繰りといった主要項目すべての見通しDIが今期実績よりも悪化しており、企業が先行きに対して強い不安を抱いていることが示されています。コスト圧力が短期的に解消される見込みは薄く、個人消費の回復も鈍い中、事業所の経営環境は当面、試練の時が続くと予測されます。







